正規化インピーダンスがリアクティブな場合の2つのスミスチャートプロット

技術

スミスチャートの中心の正規化インピーダンスは50Ωだけでなく,任意の実数に設定できます.では正規化インピーダンスが虚数成分を含む複素数の場合はどうでしょう?スミスチャートの中心を正規化インピーダンスにプロットする方法と,正規化インピーダンスの共役にプロットする方法があります.Sonnetのスミスチャートの表示では正規化インピーダンスの共役を中心にプロットします.このため他社の表示と異なる場合があります.

Zo=50Ωの時

例えば、インピーダンス Z=100+j100Ω をスミスチャート上にプロットする場合、スミスチャートの中心が50Ωであれば、右図の位置にプロットされます. これは、おそらくどのシミュレータやスミスチャートをプロットするプログラムでも同じはずです.

この場合のスミスチャート上での座標は

\(\vec \Gamma=\frac{\vec{Z}-Z_0}{\vec{Z}+Z_0}\)

で計算されます.この数式はほとんどの伝送工学の教科書に載っています.\(Z_0\)が実数であることに注意してください.

Zo=100-j100Ωの時 方法1

正規インピーダンス Zo=100-j100Ωの時はどうでしょう? スミスチャートの中心が正規インピーダンスとすると 100+j100Ωは、右図位置にプロットされることになります.

この考え方では、スミスチャート上での座標は

\(\vec \Gamma =\frac{\vec{Z}-\vec{Z_0}}{\vec{Z}+\vec{Z_0}}\)

で計算されます.\(\vec{Z_0}\)は複素数で、スミスチャートの中心は正規インピーダンスです

Zo=100-j100Ωの時 方法2(sonnetの方法)

Sonnetは100+j100Ωは共役整合ですから右図のようにスミスチャートの中心にプロットされるべきだと考えます.

この考え方では、スミスチャート上での座標は

\(\vec \Gamma =\frac{\vec{Z}-\vec{Z_0}^*}{\vec{Z}+\vec{Z_0}}\)

で計算されます.分子の\(\vec{ Z_0}^*\)は\(\vec{Z_0}\)の共役複素数で、スミスチャートの中心は正規インピーダンスの共役です