“Sonnet Lite 電磁界シミュレータのユーザー定義関数“で紹介されているユーザー定義関数についてまとめておきます.Sonnetのユーザー定義関数には
- 結果を分析するためのユーザー定義関数
- モデルパラメータを表現するためのユーザー定義関数と,
の2つがあります.両者は関数を定義したり使うプログラムモジュールが異なりますし,文法も異なる可能性があります.オンラインヘルプやマニュアルを読む場合に混同しないように注意しましょう.
結果を分析するためのユーザー定義関数(Emgraph のユーザー定義関数)
グラフを表示するときの新しい表示項目をユーザーが定義できる機能です.グラフ表示モジュールEmgraphで扱われます.sonnetの解析結果だけでなく,測定器や他のシミュレータや公開されているSパラメータファイルに対しても使うことができます.その操作の概要を” S パラメータとユーザー定義 関数による安定係数 k の表示“に説明してあります.”Sonnet Lite 電磁界シミュレータのユーザー定義関数“では次の例が紹介されています.
- 増幅器の安定係数 : “ S パラメータとユーザー定義 関数による安定係数 k の表示“で説明してあります.
- ワイヤレス給電システムのkQ 積 ”ワイヤレス給電システムの最大効率 ηmax のプロット “に基づく方法ですが,Qファクタの抽出手法は (大平,”共振回路のQファクタ” )に従った近代的で汎用的な方法で,非常に多くの電子電気回路に適用できます. ←超重要
- Qファクタのユーザー定義関数について別の記事があります.
- CRLH線路の位相定数 ” Sonnet を使った CRLH(Composite right/left-handed) 線路の解析 “で解説してあります.この考え方はCRLH線路に限らず断面が一様でない線路の分析にも必要です.
- 磁気トランスの自己インダクタンスL と結合係数 k ”Sonnet による磁気トランスの解析” で解説されている磁気トランスの等価回路の抽出手法です.電気回路の非常に初歩的な方法です.もっと洗練された方法がたくさんあります.
モデルのパラメータを表現するユーザー定義関数(Xgeom モデル入力モジュールのユーザー定義関数)
モデルの形状や材料パラメータを自動的に変化させながら様々なモデルの変化をシミュレーションするための機能です.簡単な例ではストリップ線路の幅による特性インピーダンスの変化をシミュレーションすることはよく行われます.多くの例がありますが,個々の目的に応じてそのモデル専用に定義されるので,あまり汎用性は低く,例題をそのまま使えることは少ないでしょう.
- マイクロストリップ線路 ソネット入門に詳しい解説があります 例題のダウンロードや操作の動画もあります.
- HF RFIDタグを金属壁に接近させたときの変化 例題をダウンロードできます.
- フィルターのカットオフ周波数を様々に変化させる 例題をダウンロードできます
- パッチアンテナの形状を変化せたときのアンテナの変化 ”パッチアンテナの設計例“に詳しい解説があります.
- “KID に使われる超電導導体の温度依存性”超伝導導体のモデル ソネット入門に詳しい解説があります 例題のダウンロードや操作の動画もあります.
- “高誘電率材料の温度依存性” ”単板コンデンサの誘電体の複素比誘電率の周波数依存性の抽出” に詳細な解説があります.