図形入力,最初に知っておくべき操作とコツ

how-to

初めてsonnetを使う方向けに,寸法を指定した長方形,多角形,拡大縮小など最初に知っておくべき操作を紹介します.ソネット入門の裏表紙にも要点をまとめてあります.最低限このページの前半を一読すれば入力を始められます.後半には図形入力に関して質門の多いトピックをまとめてあります.

操作の基本

長方形と多角形

長方形入力モード

キーボードでctlRと押すと長方形を入力するモードになります.2点をクリックして長方形を描くことができます.(メニューで[Insert]-[Draw Rectangle]を選んでもできます.)

座標指定

長方形入力モードでは左下に座標入力エリアが現れます.右の表のシンボルをクリックして

  • 左下を原点とした絶対座標か一つ前の頂点を基準にした相対座標
  • それぞれ直交座標,極座標のどちらでも

座標を指定できます.

一つ前に使った位置を基準にした相対座標
L直交座標系
極座標系

キーボードからの座標指定

直交座標であれば xとyの座標をコンマ区切ってx,y, 極座標であれば絶対値と角度を不等号で区切って R<A と入力します.相対座標の場合はアットマークが相対座標を意味し,@x,yとか@R<Aと指定します.

例えば5.1×3.7の大きさの長方形を描くにはキーボードでctrlRと押して長方形モードにし,マウスで一点を左クリックし,キーボードで相対座標を @ 5 . 1 , 3 . 7 enter と指定します.この操作はとても良く使いますし,この操作ができないととても辛いです.

多角形入力モード

キーボードでctlP と押すと多角形を入力するモードになります.多角形の頂点を次々にクリックして最初の点をクリックして閉じると多角形になります.sonnetでは”線”は解析の対象ではなく入力できません.多角形を閉じて”面”になって初めて入力できます.

やり直し,繰り返し,コピペなど

ctlZundo,ctlYredo, ctlCcopy, ctlXCut, ctlVPaste などのショートカットキーが使えます.

メニューの[Edit]を開くとショートカットキーが表示されています.これらはwindowsの標準の操作です.他のアプリケーションでも使えるのでおすすめです.

表示の拡大と縮小

speceキーで拡大モードになります.拡大したい領域をドラッグして拡大表示できます.

マウスのスクロールホイールを回すと拡大縮小できます.

ctlF で全体が表示されます.

実例

ここまでの操作で,図形の入力はほぼできるようになります.

入門書 ”2.6 部品と関数 -バイアスティー”の動画では右のような回路パターンを上の方法を使って入力する実例を見ることができます.

細長い図形の表示(表示スケールのアスペクト比を変更する)

とても細長いモデルで細かい部分を見ることが難しい場合があります.

[View]-[options…]で”View options”ウィンドウを開き,左のリストから[Aspect Ratio]を選びます.

xとy方向の表示比率を,たとえば 0.1:10 に設定して[適用]ボタンを押すと

縦横の表示倍率が見やすくなります.

断面が一様なTEM線路では特性インピーダンスと電気長だけで定義できるので,この例のような長い線路を電磁界解析する必要はないはずです.(参考動画, 参考資料 の ‘3. 伝送線路と波長の関係’ )

図形の修正

頂点のドラッグ,辺のドラッグ

図形をクリックして選択すると,その図形をドラッグして位置をずらしたり,頂点や辺の中央をドラッグして形状を変更することができます.長方形だけでなく複雑な形状の図形でもこの方法で修正できます.

センタリングとグリッドへのスナップ

図形を選択して [Object]-[Center],そしてお好みのサブメニューを選べば,その図形を解析領域の中央に移動することができます.

その結果,右のように図形がセルと一致しない位置に配置されることがあります.

右の例では黒い枠が中央に配置された図形の位置で,ハッチングの入った図形が実際に解析される図形です.このまま解析しても大勢に影響はないはずですが気持ちが悪いです.

その図形を選択して[Object]-[Snap to…]で”Snap to”ダイアログを開きます.

スナップには2つの方法があります.

  • 図形の頂点をそれぞれてんでに近くのセルに一致させる
  • 図形の形状を保ったまま,基準となる頂点を近くのセルに一致させる

殆どの場合,後者が望ましいでしょう.[Select Reference Point]ボタンをクリックして,基準となる頂点を指定してください.そして[適用]ボタンを押せば,図形の位置が修正されます.

図形同士の演算

図形を指定した線で切断したり,複数の図形を組み合わせて新しい図形を作る機能があります.説明を読むよりやってみるほうが早いので試してみてください.

[Edit]-[Divide]

[Edit]-[Boolean Operations]-[Union]

[Edit]-[Boolean Operations]-[Subtract]

[Edit]-[Boolean Operations]-[Trim]

[Edit]-[Boolean Operations]-[Intersect]

中抜き図形は[Edit]-[Boolean Operations]-[Subtract]で作ることができます.下の例では四角い図形から三角の図形を[Subtract]して中抜き図形を作っています.

[Sbustract]の操作は次のように行います.

  1. 外側の図形を選択します.(上の例では四角)
  2. [Edit][Boolean Operations][Substract]を選びます.
  3. 内側の図形を選択し,複数あればいくつもクリックして選択し,最後にEnterを押します.
  4. 中抜き図形には少なくとも一箇所,内側の空間と外側の空間をつなぐ繋ぎ目が入ります.

3次元表示

3次元でモデルを観測すると間違いを発見しやすいです.メニューの[View]-[3D Geometry View]か[3DView]ボタンで3次元表示になります.

層構造を指定していないと,3次元表示でも単なる板しか表示されません.

3次元表示では右上の”Z”の値を必ず確認してください.これは高さ方向の倍率です.sonnetでは層構造をわかりやすくするために自動的にZの値が設定されます.

“1”に指定してどんな形になるか見てください.

もし下図のような極端な形なら何か間違っているか誤解している可能性が高いです.

異常に薄い

異常に背が高い

異常に細長い

3次元構造

誘電体ブリックと金属ブリック(via)

sonnetで入力した多角形は金属の薄い板ですが,図形を選択して

  • [Object]-[Convert to Via Polygon]を選ぶとviaなどの金属ブリックに
  • [Object]-[Convert to Brick]を選ぶと誘電体のブリックに
  • [Object]-[Convert to Metal]を選ぶと金属の薄い板

に変換できます.(参考動画)

金属ブリックの内側は解析する必要がないので,指定しなければ空間になります.

金属ブリックの内側を金属で満たす指定や,どの層からどの層までのブリックかは,その図形を右クリックして[Via Properties]でダイアログを開いて指定します.

同様に誘電体ブリックの層配置も[Brick Properties]で指定できます.

誘電体ブリックはProfessional版などの上位製品だけの機能です.また非常にメモリ消費が大きく解析負荷も大きいので小さな部分だけにしか使用できません.3次元構造が重要な場合はsonnetではなくfull 3Dシミュレータをご利用ください.

誘電体であれviaであれ,sonnetは波長に対して無視できない高さの物体を正しく解析することは原理的にできません.しかしsonnetは波長に対して無視できない大きさの解析空間中に分布する電磁界分布が薄い導体に及ぼす影響を精密に再現します.これが平面三次元シミュレータという一見矛盾した言葉の意味です.参考資料