寸法や解析条件などのパラメータを自動的に変化させながら解析することができます.これにより形状の変化の傾向や解析条件が結果に及ぼす影響を定性的に知ることができます.またパラメータをく関数で表現することで複雑な性質をもったモデルを作ることができます.例えば周波数に依存する高誘電率の材料や磁性体,温度に依存して導電率が非線形に変化する超電導材料などの解析をすることができます.
導体パターン形状のパラメータスイープ
導体パターンの寸法のパラメータスイープについては 入門書の2.4 “パラメータスイープと特性インピーダンス–マイクロストリップ線路” に詳しく説明してあります.操作を解説する動画の中では導体パターンの幅と,導体パターンと壁の距離を指数関数的に変化させています.
その他のパラメータを指定する例
解析条件に関わる数値もパラメータとして変化させることができます.例えばsonnetのモデルの”Number of Cells”(セル数)をパラメータに指定してみましょう.
[Circuit]-[Settings]で”circuit settings”ウィンドウを開き,[Variables]のページを開きます.
[+Add]をクリックして,例えば変数Nを100と定義しておきましょう..
次に,”circuit settings”ウィンドウの[Box]のページを開きます.
“Num.cells:”の数値の右の[V]をクリックするとすでに定義されている変数のリストが現れます.右の例では”W”,”S”そして上で定義した”N”があります.”N”を選べば “Num.cells:”の値として”N”で定義された数値が使われるので,Nをスイープして変化させることができます.
Sonnetのモデルの設定のあちこちに右に[V]がついている数値欄があり,それらはすべてパラメータとして定義し,パラメータスイープすることができます.
関数の利用
入門書の2.5 “超伝導導体”に関数を利用したパラメータスイープの詳しい解説があります.温度によって超電導導体の導電率が変化する様子を関数で定義し,温度をパラメータとして解析することで超電導導体の温度依存性を再現できることを実証しています.
ファイルを参照する関数(周波数依存材料の例)
“単板コンデンサの誘電体の複素比誘電率の周波数依存性の抽出“や”Sonnet における周波数依存磁性体のモデリングの例“では誘電体や磁性体の周波数依存性を測定した結果を記録した表を参照する関数を定義することで,モデルに使用している材料の特性が周波数スイープに応じて刻々と変化するモデルを作っています.