前提知識

差動モードとコモンモード線路解析モデルの基本
このcline.zonモデルは結合したマイクロストリップ線路の コモンモードと差動モードの両方を同時に解析する典型的なモデルの一例です. このモデルは次のような点に注意してください
ポート設定
ポート番号を変更するにはポートのシンボルの上で右クリックし,ポートプロパティダイアログで設定します.
壁や天井を離す
また,線路の左右の壁までの距離と天井までの距離はほぼ同じにしてください.天井だけを極端に高くしても良い結果は得られません.
線路を長くしすぎない
線路の長さ方向のCell Sizeは波長より十分細ければ十分です. 線路の幅方向のCell Sizeは差動線路の線路間隔Sを再現できる程度に細かくする必要があります. 多くの場合,線路の長さ方向のCell Sizeは幅方向のCell Sizeより大きくなるでしょう.
高い周波数の限界
低い周波数の限界
電磁界シミュレータでは極端に長い波長では誤差が生じます. 右図は横軸を対数目盛にしてあります. この例では0.1GHz以下でMAG[PZ1],MAG[PZ2]が上昇し, 5MHz以下では計算できず表示されていません. この例ではMAG[PZ1],MAG[PZ2]が滑らかに変化している50MHz以上が,結果を妥当とみなし得る領域です.
線路の長さ方向のCell Sizeを細かくするとこの低域の限界が高くなります.
TEM線路の一般的な周波数特性
上で説明した妥当な周波数範囲では線路インピーダンスは非常に緩やかにしか変化しません.
低い周波数の限界以下での変化は緩やかなるので,Sonnetの解析結果を低い周波数に外挿しても問題ありません.高い周波数の限界以上では周囲環境によってそもそも線路インピーダンスが定義できない領域に入るので,異なる解析法や測定環境との整合は期待できません.
→右の文書では専門外の方に
他のもっと簡単な計算手法との違いや,
差動とコモン以外のモードについて
解説してあります.
対称性を利用した差動モードとコモンモード線路解析モデル
対称性を利用して問題を半分だけ解析し, メモリの使用量を1/4にする方法があります. これは 電磁界解析のコストが高価だった時代には一般的な方法でした. 現在でもCell Sizeをとことん細かくして,精度を上げたい場合には有効な手段です.
対称面に磁気壁を置いてコモンモードを解析するモデル
解析結果の MAG[PZ1]がコモンモードインピーダンスZcommになります.
(注)機械的な対称性とは必ずしも一致しません.もしこの意味が分からない場合は,対称性を使わない方法をつかってください.
電気壁を利用して差動モードを解析するモデル
解析結果の MAG[PZ1]は oddモードインピーダンス Zoddになります. Zoddは差動モードインピーダンスZdiffと Zodd=Zdiff/2 の関係があります.
三つのモデルの結果の比較
差動モード,コモンモードの事を 高周波分野ではoddモード,evenモードと呼ぶことがあります. Zodd=Zdiff /2, Zeven=Zcomm *2 の関係があります.
より高度な定義
- Mixed Mode S-parameter
- 両端にそれぞれ二つのポートがついた二本の線路の断面が一様ならば,上述のようにコモンモードと差動モードに分けてその振る舞いを定義することができます. しかし線路が非対称であったり断面が変化する場合は,二つのモードが混在ししかも線路中で変換が起こるので二つのモードを同時に扱う必要があります. Mixed Mode S-parameterは,その現象を表現するSパラメータです.
- N-coupled line model
- 両端にそれぞれ二つのポートがついたN本の線路には N個のTEM伝送モードが存在します. この場合のモードはもはや差動,コモンの二つでは表現できません. これをN本の線が互いに結合した等価回路モデルで表現することがあります. この文書の[Output]-[PI model file] でなく[Output]-[N-Coupled Line Model]を試してみてください.