Sonnet emの実行時間について
Sonnetの実行時間は大きくMatrix FillとMatrix SolveそしてFrequency Sweepの三つの工程に分けて考えます.
Matrix Fill
MatrixFillは連立方程式を立てる工程です.大きなboxを使うアンテナ、導体同士の結合が複雑な多層構造、Conformal meshを多用する問題では、この時間が支配的です. 計算時間は原則的にはボックスのセル数Mが2^NのときM*Log(M)に比例します、が現実はより複雑で,Matrix Fillの時間は年々遅くなる傾向にあります. これはMatrix Fillの工夫で未知数を減らし,次のMatrix Solveの工程を大幅に速くできるからです
Matrix Solve
Matrix Solveは連立方程式を解く工程です. メモリ使用量は要素数N(サブセクション数)の二乗に,そして実行時間はNの3乗に比例します. これは多くの科学技術計算に共通の性質です. MatrixFillの工程に多少手間をかけてもサブセクション数Nを減らすことができれば, Matrix Solveの時間を大幅に減らすことができます.Sonnet V12ではMatrix Solveにmulti CPUを使うようになり,Matrix Solveの時間がケタチガイに早くなりました.
Frequency Sweep
電磁界解析では周波数特性を得るために多くの周波数で解析を繰り返します. 少ない周波数での解析結果から,全体の周波数特性を予測できれば解析時間を大幅に節約できます. SonnetのABSアルゴリズムは10年以上に渡って,業界最高の精度,速度,帯域幅を誇っています.
Sonnet emに適した環境
PCの著しい進歩によって ”どのCPUの技術が、どれほど実行時間に効果があるか?”を判断することが非常に難しくなってきました.
SonnetユーザーのためのPC選択ガイド
に大まかな注意点をまとめてあります.
また下表のベンチマーク結果から適したPCを判断してください.
2010〜
下記は2010頃からSonnet米国本社で使われているベンチマークです.
ベンチマークモデル
SonnetBM_2GB_32bit.zipを ダウンロードして,右クリックで全て展開してください.
展開したフォルダの中の main.son を解析して下さい
解析が終わって [Timing Info]ボタンをクリックすると 解析時間が表示されます.
解析を繰り返したり,途中でやめて再開する場合は, 必ず フォルダを一旦削除し, SonnetBM_2GB_32bit.zipの 展開からやり直してください.
SonnetBM_2GB_32bit.zipには
右図のようなSonnetの典型的な例題が圧縮して収められています.
いろいろなシチュエーションを加味した解析能力の指標になります.
ベンチマーク結果
右の表(クリックすると拡大します)は,
Sonnet米国本社で収集されたデータです.
Sonnet本社内ではQuad CPUを使っている人が多いです.
また,一部に市販されていない12threadや16threadのデータもあります.
最上位のSocre=12.3のデータは sonnet professional highperformaceのV13で実現予定の速度です.
Sonnet professional standard V13では,Quad Core CPUを使ってScore=4程度になるでしょう.
2005~2008年頃
下記は2008年以前の古いベンチマークデータです
ベンチマークモデル
Matrix Solve評価用 | Matrix Fill評価用 | ||
---|---|---|---|
Sonnet Professional用 | メモリ1.5GB使用 | bench_1500mb.son | bench_cm800k.son |
メモリ2.5GB使用 | bench_2500mb.son | ||
メモリ3.6GB使用 | bench_3600mb.son |
ベンチマーク結果
- 2005/3/10
- この表を見ると、3GHzを超えるクロックでも、実行時間はクロックと深い関係があることがわかります. Dual Xeonを搭載したサーバー用マシンは同じクロックのPentium 4に比べて5%程度遅く、サーバー用の強固な筐体や熱設計以外のアドバンテージはありません.
- 2005/11/2
- Visual Technology社さまからdual opteronのマシンをお借りすることができました.SonnetはOpteronにも最適化してありませんし、dual CPUもサポートしていませんが、それでも数値計算専用マシンのアドバンテージが感じられる結果になりました.4GBの実装メモリを使いきれることと、余裕ある熱設計は連続重負荷での運用に安心感があります. emclusterを使った実行例もご覧ください.
- 2006/6/12
- Sonnet V11β版で始めてWindowsで3.6GBを超える問題を解くことができるようになりました.このベンチマーク結果では 解析時間はメモリ使用量の2乗に比例しています.64bitCPUを使っても大きな問題はなるべく避けた方がよいでしょう.
- 2006/11/10
- とあるお客様からcore2 extremeとXeonのベンチマーク結果をいただきました.歴然と速いですね.
- 2007/2/28
- ベンチマークレースの2月の結果を掲載しました.16GBのメモリを実装している方が意外に居て驚きました.
- 2007/4/2
- ベンチマークレースの3月の結果を掲載しました.久々にopteronでのデータです.
- 2007/4/27
- visual technology様から、Opteronマシンを貸していただきました.
- 2007/4/27
- データが増えてきて表が見にくくなったので相対性能を表すグラフにしました.
- 2007/5/28
- グラフをソートしました.core2duoのデータを追加しました.(これはMacbookです.)
- 2007/6/13
- sonnetのバージョンを表示しました.どうやらV11でmatrix solveのパフォーマンスが20%以上改善しているようです.
- 2008/7/22
- 公表できないケタチガイのデータに合わせてグラフの目盛りを対数目盛りにしました.